黄えんどう豆に関する特許分析について
先日、黄えんどう豆からできている、ZENB NOODLEというのを食べたことから、フードテック分野における黄えんどう豆に興味がわき、日本ではまだあまりなじみのない黄えんどう豆に注目をしている企業や、黄えんどう豆に関する特許状況について、今回少し調査をしてみました。
以下、黄えんどう豆の詳細については、リンクフード株式会社様のサイトを参考にさせていただきました。
1. 黄えんどう豆とは
マメ科のエンドウ属の一年草で、主にヨーロッパや北アメリカで栽培されていて、古くから食用や飼料として利用されてきたとのことです。黄えんどう豆は、タンパク質の含有量が高く、必須アミノ酸もバランスよく含まれているとのことです。また、食物繊維や(にんじんの約3倍含まれているとのこと)、ビタミンB群、ミネラルなども豊富で、栄養価が高いと言われているとのことです。
さらに、大豆などに含まれるイソフラボンやレクチンなどの成分が少ないため、アレルギー反応を起こしにくいという特徴もあるとのことです。
さらに、黄えんどう豆は少量の水で育てることができ、代表的な作物である大豆やとうもろこしと比較しても必要な水の量は少なく、環境にとって大切な水資源を有効活用できる作物とのことです。
土壌に対しても、黄えんどう豆を含めマメ類は空気中の窒素を栄養として利用できるため、環境汚染に繋がると言われる窒素系の肥料を栽培時に必要とせず、黄えんどう豆が含まれるえんどう豆類の生産時に排出される二酸化炭素(CO2)は少なく、牛肉のわずか1.5%で済むとのことです。
なお、黄えんどうは、庭やベランダ、鉢植えなどで栽培され、観賞用の花としても楽しまれていて、花言葉は「笑いを誘う」「希望の兆し」などで、贈り物にも適しているとのことです。
2. 黄えんどう豆に関する特許出願状況
今回、ラフな特許調査として、lens.orgで、発明の名称、要約、クレームに”yellow pea”のキーワードが含まれている特許を抽出してみたところ、全250件が抽出され、特にここ数年、特許出願件数が急激に増えていることがわかりました。フードテックが注目をされていることもあり、黄えんどう豆の活用も注目されていることが読み取れます。
出願件数別で出願人を見ると、Mars.Inc, Innovative Proteins Holding Llc, Burcon Nutrascience Mb Corp, Kalamazoo Holdings Inc, Wenger Mfg, Nestle Sa(ネスレ)といった順で出願がされていることがわかり、上位はアメリカ、カナダの企業で占められています。
また、出願されている地域についても、現時点ではアメリカが圧倒的に多い模様です。
今回あがってきた特許のうち、いくつかを以下にピックアップします。
まず、最近公開され、特許になっているものとして、カナダの企業である、Burcon Nutrascience社の米国で権利化されたパルスプロテインに関するものがありました。
Preparation of pulse protein products(YP810)
概要としては、従来の市販の豆類タンパク質製品に特有のエンドウ豆/野菜のフレーバーノートが非常に少ない、または実質的に含まず、食品および飲料製品の強化に有用であり、食品中に塩を使用せずに調製された豆類タンパク質製品に関するものとのことです。
次に、少し前の特許とはなりますが、興味深いものとして、代替卵に関するJust, Inc. 社のものがありました。
Eggless mayonnaise comprising plant-based egg substitute
クレームは非常にシンプルなものとなっており、クレーム1の内容を翻訳すると、
卵を含まないマヨネーズ組成物であって、前記組成物は:
(i) 黄エンドウ豆粉、および
(ii) 加工デンプン;
前記黄エンドウ豆粉と前記加工デンプンの重量比は6:4〜4:6の範囲であり、前記黄エンドウ豆粉は水と少なくとも24時間インキュベートすることによって予め水和されている。
となっており、マヨネーズの組成物として、卵の代わりに黄えんどう豆が使われている内容となっています。
また、ネスレ社からは、こちらはまだ権利化はされていませんが、”植物性タンパク質分離物とグルテンの混合物の湿式押出によって調製された植物ベースの肉類似物”についての特許出願がされています。
Plant based meat analogue prepared by wet extrusion of mixture of plant protein isolates and gluten
クレーム6において、植物性タンパク質として、黄えんどう豆があげられています。
日本ではまだあまりなじみがない黄えんどう豆について、世界に目を向けると、その有用性に注目がされ、技術的にも注目がされていることが分かります。